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製造業

M社様

生産管理パッケージカスタマイズ事例

  • 受託開発

はじめに

M社様における現行パッケージの生産管理機能の本格活用に向けたカスタマイズプロジェクトについて、その背景、課題、取り組み内容、効果、そして今後の展望をまとめました。
既存システムの有効活用を前提としながら、必要最低限のカスタマイズで業務効率化と情報共有の実現を目指した本プロジェクトは、短期間での開発対応を求められる中で進行しました。

 生産管理パッケージカスタマイズの背景

M社様では、2018年頃に生産管理パッケージシステムを導入しておりました。
ただし、当初からの運用は主に売掛・買掛の機能に限定され、生産管理については使用されていない状態が続いていました。

その理由としては、業務フローや作業内容を大きく変更せず、最小限のシステム化でスタートしたことが挙げられます。また、業務の属人化やExcel等による補完運用で日々の処理をまかなっていたこともあり、生産管理のシステム化は一旦保留されていました。

転機となったのは2024年初頭のことで、ユーザー様側で「今後は生産業務もシステムで一元的に管理したい」という明確な要望が生まれたことで、これまで利用されていた生産管理パッケージシステムに改めて焦点が当てられました。
すでに一部の業務で運用実績があったこと、導入済のシステムであることから、他システムへの移行検討は行わず、現行システムの生産管理機能をカスタマイズして本格運用に向けた対応を行う方針が決定されました。

抱えていた業務課題

生産管理機能の導入・拡張を進めるにあたっては、以下のような業務課題が顕在化していました。

情報の属人化と共有不足

受注情報、在庫の把握、進捗状況などのデータが一部担当者のみに集中しており、部門間での情報共有が難しい状況にありました。これにより、問い合わせ対応や状況把握に時間がかかる、意思決定が遅れるといった影響が発生していました。

二重・三重の転記作業

業務データの入力・管理において、同一の情報を複数のExcelファイルや手書き帳票に繰り返し転記する作業が常態化していました。これにより、人的ミスのリスクが高まり、作業工数も増加していました。

手書きによる非効率な運用

出荷に関する伝票作成など、一部業務が依然として手書きで行われており、担当者の負担が大きくなっていました。また、紙ベースでの運用は記録性や検索性にも課題があり、業務全体の効率性を損なう一因となっていました。

プロジェクトの進行と制約

本来であれば2024年初頭のユーザー要望を受けて早期に開発検討に入る予定でしたが、作業が多忙だったことなどもあり、本格着手は2024年秋からとなりました。

一方、ユーザー様の稼働希望時期(2025年6月)は当初から変更がなく、事実上、開発期間は約半年というタイトなスケジュールとなりました。そのため、標準機能とのすり合わせや要件定義、必要な開発項目の取捨選択について、スピード感を持って進める必要がありました。

 

カスタマイズの方針と対応内容

基本方針

M社様としては「標準機能に運用を合わせていく」という考えが強く、極力カスタマイズを避けるという方向で検討が進められました。
しかし、業務の現実に即した運用を目指す中で、標準機能ではカバーしきれない非効率な部分があることも明らかになりました。

そのため、次のような方針で対応しました:

  • 業務の全体フローを標準機能ベースで構築
  • ボトルネックとなる部分のみを限定的にカスタマイズ
  • 最終的な運用負荷と効果を比較検討したうえで開発範囲を決定

主なカスタマイズ内容

  • 取引先マスタ、品目マスタの項目追加
    メール送信に必要な情報等、今まで生産管理機能を使用していなかった為、使用していなかった必要項目を追加します。
  • 生産計画の出力と取り込み
    受注(内示)データより、生産計画取込用データを出力する様にします、また、生産計画を指定形式で取り込めるようにします。
  • 受注データのシステム登録の自動化/簡便化
    受注データを最初から生産管理パッケージに登録することで、以降の生産計画・発注・受入・出荷といった一連のプロセスをシステム内で完結可能とし、情報の一元管理を実現。
  • 出荷予定関連帳票の自動出力機能
    これまで手書きで作成されていた帳票(出荷伝票や納品書など)について、システムから自動出力できるようにカスタマイズを実施。これにより、伝票の作成ミスや記入漏れが解消され、作業効率の大幅な向上が見込まれています。

導入による効果

システム導入とカスタマイズ対応によって、以下のような効果が得られます。

業務の効率化

データの一元管理により、受注から出荷までの各プロセスがシームレスにつながり、作業の抜け漏れや確認作業が削減されました。Excelベースの手作業も大幅に減少し、担当者の作業時間が短縮されます。

情報の可視化と共有化

これまで担当者にしかわからなかった在庫や受注状況が、システムを通じて全社的に共有可能となり、現場と管理部門との情報格差が縮小しました。

帳票処理の自動化

出荷関連帳票の出力がシステム化されたことで、従来の手書き作業による負担とミスのリスクが軽減され、帳票管理の標準化が実現しました。 

今後の展望とまとめ

今回の取り組みでは、限られた開発期間の中で、必要最小限のカスタマイズによる業務改善を目指しました。M社様の運用スタイルに合わせて、標準機能の活用を最大化しつつ、現場の負担を軽減する形でのカスタマイズを行うことで、実用的かつ現実的なシステム導入を実現しました。

今後は、稼働後の運用状況を確認しながら、さらなる改善点の洗い出しや、必要に応じた運用支援を継続的に行う予定です。業務の変化に柔軟に対応できるシステム運用を目指し、引き続きサポートしてまいります。

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