CASE 事例紹介
品質管理システム導入事例
- 受託開発
受注の背景
K工業様では、これまで品質管理の各工程において従業員の経験や勘に頼る部分が大きく、全工程を通して統一的な品質チェック体制が整っていませんでした。その結果、不良品や未加工品が見逃され、納品物として社外に流出してしまう事例が繰り返し発生していました。また、取引先からの品質要求が年々高まる中、現状の管理体制では対応が困難であることから今後の商機を逃すかもしれないという危機感を抱えていました。このような背景から、品質管理の強化を目的に、電子化されたチェックシートを中心とした品質管理システムの開発・導入を行うこととなりました。
弊社からの提案・ソリューション
K工業様が導入した品質管理システムは、以下の4つの課題を解決するために設計されました。
正規工順と製造指示日の明確化
品質管理の基本となる「正規工順」と「製造指示日」を明確に管理する仕組みを導入しました。
工順管理の徹底
現在の工順登録内容を事前承認された工順と照合し、必要に応じて修正を実施します。また、工順を変更した品番については、基幹システム内で適切に更新します。さらに、必要に応じてメーカーに工順変更を申請し、承認を得るプロセスを追加しました。
製造指示日管理の標準化
各工程の製造指示日を事前に決定し、工順チェックシートに印刷します。これにより、現場作業者が参照しやすい形で提供することが可能となります。
工程ジャンプの防止
品質問題の温床となる「工程ジャンプ」を防ぐための仕組みを開発しました。
工順チェックシートの導入
組立工程以降に「工順チェックシート」を導入し、着工前に確認を必須化しました。また、工程ジャンプが見つかった場合には、工程リーダーを通じて差し戻し、再確認を行うフローを構築しました。
工順順守の意識付け
完工後にはチェックシートに記入することで、作業者の意識向上を図ります。さらに、これらの記録を保管し、トレーサビリティの確保にも役立てています。
管理値の明確化
製品の品質基準を明確にし、それに基づく管理を行うための仕組みを構築しました。
品質チェックシートの導入
単品工程において、品質チェックシートを使用し、着工、中間、完工の各工程で管理値を記録します。管理項目には寸法、重量、外観検査などの基準を明確化し、現場での記入を徹底しました。
電子化によるトレーサビリティの確保
チェックシートをスキャンして電子データとして保管することで、必要な時に迅速に検索・参照可能な仕組みを整備しました。
異品対策
物流工程における異品混入を防ぐための仕組みを構築しました。
三点照合の実施
出荷準備作業者が帳票類、現品、完成品写真を照合する三点チェックを実施します。また、完成品写真の検索にはWindowsエクスプローラーの検索ボックスを活用し、迅速な確認作業を可能にしました。
開発現場における工夫
現場スタッフの意識改革
長年、経験や勘に頼った作業スタイルに慣れていたため、電子化されたシステムへの抵抗感が見られました。これに対して、現場スタッフを巻き込んだテスト導入を行い、フィードバックを反映する形で使いやすさを改善しました。
チェックシートの直感的な設計
現場での入力作業が煩雑にならないよう、シートのレイアウトや記入方法を工夫しました。重要な項目は色分けやアイコン表示で強調し、現場での負担を軽減しました。
データ連携とセキュリティ確保
基幹システムや既存のデータベースとの連携において、データ整合性を保つことが課題でした。また、品質データの漏洩防止のため、システムに多層的なセキュリティ対策を施しました。
導入後の効果・成果
品質改善と信頼性の向上
工順順守が徹底されたことで、不良品や未加工品の発生が大幅に減少しました。特に、システム導入後は異品混入に関するクレームがゼロになり、得意先から高い評価を得ることができました。また、製品の品質が安定したことで、追加検査や補修作業が不要となり、コスト削減効果も得られています。
業務効率の向上
品質管理プロセスの電子化により、作業者の手入力や紙ベースでの記録作業が簡素化され、現場の作業負担が大幅に軽減されました。さらに、電子化されたチェックシートは基幹システムと連携しており、データの検索や参照が迅速化され、品質問題が発生した場合でも即座にトレーサビリティを確保し、迅速な原因追及と対策が可能になりました。この効率化により、全体の業務生産性が向上しています。
納期遵守率の向上と取引先満足度の向上
製造指示日の明確化と工程管理の標準化により、各工程の進捗状況がリアルタイムで可視化されるようになりました。これにより、計画通りの進行が可能となり、納期遅延がほぼゼロになったことで得意先への確実な納品が続いた結果、取引先満足度が向上して新規受注の獲得にもつながりました。
作業者の意識向上と現場文化の変化
電子チェックシートの活用により、作業者が各工程での品質チェックを自覚的に行う習慣が根付いてきました。特に、「工順順守」や「記録の重要性」に対する意識が大きく改善され、現場全体での品質文化が強化されました。これにより、個々の作業者が品質改善に積極的に関与するようになり、現場から自主的な改善提案が出るケースも増加しています。
データの活用によるさらなる改善の可能性
電子化されたデータは、品質の傾向分析や異常発生の予測に活用されるようになりました。これにより、現場では過去のデータに基づいた予防保全やリスク低減の施策が進められています。また、得られたデータは経営層にも共有され、経営判断に役立つ重要な資産となっています。
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