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2025.06.19

不良在庫や破損品を見逃さず販売管理システムで処分や再利用を実現する

企業活動において在庫は「資産」であると同時に、「リスク」にもなり得ます。特に不良在庫や破損品は、販売の見込みがなくなったにもかかわらず、倉庫内に長期間放置されがちで、利益をじわじわと圧迫する厄介な存在です。こうした在庫を「見える化」し、スムーズに処分・再利用へと導くには、販売管理システムの活用が不可欠です。本記事では、不良在庫や破損品が抱える課題から、システムを活かした実践的な対策まで、わかりやすく解説します。

【目次】

1.不良在庫や破損品が利益を圧迫する原因とその見逃されがちな実態

2.販売管理システムで不良在庫を早期発見・管理するための仕組み

3.処分や再利用を効率化する在庫管理と業務フローの見直し方法

4.まとめ

不良在庫や破損品が利益を圧迫する原因とその見逃されがちな実態

不良在庫とは、販売の見込みが著しく低下した在庫を指します。例えば、季節性商品でシーズンを過ぎてしまったものや、型落ちしてしまった製品などです。破損品も同様に、商品としての価値を損なったにもかかわらず、管理コストだけが発生し続ける存在です。

これらの在庫は、帳簿上は「資産」として残るため、経営状況が過剰に良く見えてしまう「在庫の見せかけ利益」問題を引き起こします。また、不要な在庫が倉庫スペースを圧迫することで、本当に動いている商品の入出荷業務に支障をきたすケースも少なくありません。こうした影響は気づかれにくく、日々の業務の中で徐々に企業体力を奪っていきます。

販売管理システムで不良在庫を早期発見・管理するための仕組み

販売管理システムの最大の利点は、在庫の動きを「見える化」できる点にあります。例えば、特定期間内の売上実績や出荷データをもとに「一定期間動きのない在庫」を自動でリストアップすることが可能です。これにより、人の目では見落としがちな在庫異常も、数値で明確に把握できます。

さらに、システムにアラート機能を設定すれば、「最終出荷日から○日以上経過した商品」や「破損報告が複数回あった品目」などを自動通知することで、早期対応を促すことができます。加えて、担当者別に在庫状況を共有する仕組みを導入すれば、責任の所在を明確化し、管理の属人化を防ぐこともできます。

処分や再利用を効率化する在庫管理と業務フローの見直し方法

不良在庫や破損品が見つかった場合、「即廃棄」ではなく、まずは再販や別販路での販売可能性を検討すべきです。たとえば、アウトレット販売、キャンペーン用ノベルティへの転用、パーツの再利用といった方法が考えられます。環境配慮の観点からも、こうした再利用は企業価値を高める施策として注目されています。

そのためには、再販・転用の判断基準や承認フローを社内ルールとして明文化し、販売管理システム上でもそのプロセスを反映できる設計が必要です。たとえば、「再利用候補在庫」としてフラグを立てる機能を設けたり、処分承認が必要な在庫にはアラートを付けて上長確認を促したりするといった運用です。これにより、処分の遅延や担当者の判断ミスを防ぎ、スムーズな処理と再活用を可能にします。

まとめ

不良在庫や破損品は、多くの企業にとって見過ごされがちな損失要因です。しかし、販売管理システムの導入により、これらをいち早く発見し、適切に対処することが可能になります。ただ「見える化」するだけでなく、再利用や再販といった次のアクションにつなげることで、在庫の価値を最大化し、企業全体の収益性や効率性を高めることができます。今こそ、自社の在庫管理体制を見直し、ムダのない、強い経営基盤を構築しましょう。

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