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2024.08.09

中小企業の製造業で生産管理における受注生産のメリット・デメリット

製造業の生産方法には、お客様に注文を受けてから製造を開始する「受注生産」と、注文の有無に関わらず、予め立てた計画に沿って在庫を確保し行う「見込み生産」があります。「受注生産」はお客様の希望に沿って製品を生産することができるので、顧客満足度の高い製品を生産することができるだけでなく、自社で在庫を抱える必要がないので一見メリットばかりのように思えますが、半面、納期の長さや手戻りの多さなどの課題もあります。今回は「受注生産」の特徴と解決すべき課題をご説明しますので、製造業に従事している方、生産における課題を抱えている方は是非ご覧ください。

 

【目次】

1.中小企業の製造業における受注生産の特徴、見込み生産との違いと強み

2.中小企業の製造業において受注生産を行っていく上での課題や問題点

3.まとめ

 

1.中小企業の製造業における受注生産の特徴、見込み生産との違いと強み

 

受注生産とは文字通り、お客様からの注文を受けてから製品を生産する方式であり、見込み生産とは社内の過去の生産実績データなどに基づいて事前に需要を予測し、必要になると思われる数量をお客様からの発注がある前に製品を生産する方式です。

受注生産の特徴はお客様からの発注に基づいて製品を生産するため、常に必要な数だけの生産を行うことができ、在庫を確保しておく必要がないため、過剰在庫による廃棄リスクや、在庫を保管する費用がかからない強みがあります。

一方、見込み生産の場合は、需要を予測し生産を行うので、過剰在庫が発生する可能性があり、過剰在庫が発生した際には大幅な値引きを行って、赤字の拡大を防ぐ措置を取る必要があります。また、それでも売れ残ってしまった場合には、廃棄せざるを得なくなり、廃棄コストがかかることで利益を圧迫します。しかし、受注生産ならばこのようなリスクを回避することができ、その上、倉庫の契約料や光熱費、倉庫担当者の人件費など、在庫保管コストも削減することができるので利益率の向上につながります。

 

2、中小企業の製造業において受注生産を行っていく上での課題や問題点

 

受注生産は、発注を受けてから生産計画を作成し納期を確定するため、納期が長くなります。リードタイムが長くなってしまうと、生産をおこなう工場の稼働コストが増えてしまう問題点があります。

また、受注生産では、納品・検収後の支払いが一般的で、リードタイムが長くなってしますと、代金の回収が遅くなってしまい、キャッシュフローにも影響が出ます。他にも、お客様の希望に合わせて仕様を決めて生産をしていくため、生産開始後にお客様から仕様を変更して欲しいと要望されるケースも多々あり、手戻りが発生することもあります。手戻りが発生すると、それまでの工程で使用した部品や資材が無駄になってしまい、これまでの生産にかかったコストが損失となり、利益が減ってしまうリスクがあります。また、お客様の依頼に沿って製品仕様を決定してから部品を調達して生産をするため、見込み生産と比較して生産コストが増大します。

 

3.まとめ

 

受注生産は在庫を抱えるリスクを抑えつつお客様の要望に応え、希望を満たす製品を生産することが可能になりますが、納品までのリードタイムが長くなることもあり、手戻りが発生しやすいというリスクがあります。受注生産にはメリットとデメリットがそれぞれあることを認識して、対応をおこなう場合には、課題、問題点を解決するために、生産管理のシステムを使用するなど、対策を検討していくようにいたしましょう。

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