COLUMN

ENGINEER

2024.12.05

製造業で生産案件の継続受注を確保するための顧客管理システム構築と活用

中小の製造業では、一度、受注ができてもその後継続して作業を確保出来ないことが多々あります。これには、試作の依頼だけで量産開発が確保出来ないことや、繁忙期にのみ仕事が発生するお客様が存在するなどの事情があります。技術力や実績はあるのになぜか成約ができない、そう悩む中小企業も少なくないのではないでしょうか。その原因はお客様のニーズをうまくキャッチできていないからかもしれません。そのような悩みを解決する手段として、今回は、顧客管理システムの構築・活用についてご説明します。

【目次】

1.中小の製造業で顧客管理システムの構築が必要な背景と理由

2.中小の製造業が顧客管理システムを構築・活用していく上でのポイント

3.まとめ

中小の製造業で顧客管理システムの構築が必要な背景と理由

近年の製造業では製品そのものの品質では差別化が難しくなってきています。その結果、新規顧客を獲得することが困難になり、営業が新規顧客を獲得するためのコストや期間は増大しています。このため、新規顧客を獲得するよりも既存の顧客をつなぎとめて、リピーターになってもらう方がコストを抑えられる状況が生まれています。そのために既存顧客の信頼を高めることが継続受注に有効です。

また、情報化が進み顧客が簡単に情報を入手できるようになったことで、ニーズが多様化しています。そのため、顧客満足度を向上させるには、求められるものにきめ細かく対応して行くことが重要になります。ここで有効になるのが顧客情報の適切な管理です。

さらに、過去に成約に至らなかった案件や継続を止めてしまった顧客は失注案件となりますが、こうした失注案件に対して原因をしっかりと分析し、顧客がもつ課題まで把握できれば、適切な製品を提供でき再度の商談につなげていくことができます。顧客情報システムはどこが問題だったかを発見し、顧客とのコミュニケーションを有効にするデータを蓄積し、同じ失敗を防止します。

中小の製造業が顧客管理システムを構築・活用していく上でのポイント

顧客管理システムは顧客の情報を管理分析して売上につなげていくという考え方ですが、すべてができる万能なものではありません。一言で顧客管理と言っても、それぞれの企業が抱えている課題は千差万別です。そのため、顧客管理システムの構築を検討する場合は、どういう課題を解決するために使うのか、なんの目的でシステム構築するのかを明確にしておく必要があります。その目的のためにどんなデータを収集したいのか、その為に必要な機能はなにかを分析した上で自社に合った構築をすることが重要です。

また、データから顧客ごとにどんな価値を提案し、顧客満足度を上げて行くのかを考える際に大切なことは、データが活用可能な状態を構築することです。たとえば部門ごとにデータが分断されている場合などは、データ構造が統一されておらず、データの欠損や重複が発生して活用が難しくなります。これでは顧客ごとのニーズに合った対応をするという顧客管理システム本来の役割を果たすことが難しくなります。この状態では失注した際の原因が見えなくなってしまうこともあります。

まとめ

顧客管理システムは、なんでもできる万能のツールではありませんが、有効に活用をすれば、顧客のニーズを把握し、営業や製品開発に生かすことができます。製造業界は競争が激化してきているため、顧客のニーズを満たすことが継続契約には欠かせません。そのためにも、顧客管理システムを構築し、顧客情報や取引実績の登録、データ分析が必要になってきています。一度受注があった顧客の満足度を高め、リピート案件につなげるためにも、まだ顧客管理システムが構築されていない場合は前向きに検討してみてください。

ARCHIVE