COLUMN

ENGINEER

2025.01.30

生産管理の受注票をOCRでシステムに取込む際の文字認識の上げ方

製造業における受注管理は、FAXや手書き伝票、PDFなど多様な形式で受け取ることが多く、データ入力作業には時間と手間がかかります。その解決策としてOCR技術が導入されていますが、認識精度の低さが課題となることがあります。本記事では、OCRの認識率を向上させる具体的な方法について解説します。フォーマットの統一や前処理技術の活用、AI-OCRの導入、システム連携によるデータ補正などを通じて、生産管理システムへの効率的なデータ取込を実現する方法を紹介します。 

目次 

1.受注票データ化におけるOCRの課題と現状の問題点について 

2.OCR認識率を向上させるために実践すべき具体的な方法について 

3.まとめ  

受注票データ化におけるOCRの課題と現状の問題点について 

受注業務において、受注票の形式はFAX、手書き伝票、PDFファイルなど多岐にわたり、標準化されていないのが実情です。例えば、FAXで送られてきた受注票は印刷がかすれていることや、手書きの文字が不鮮明であることがよくあります。このような受注票を手動でデータ入力すると、入力ミスや遅延が生じ、生産計画全体に悪影響を及ぼすことがあります。 

こうした課題を解決するために、OCR(光学文字認識)技術が導入され始めました。OCRは受注票の文字情報を読み取り、自動でデータ化する技術です。これにより手入力作業が削減され、業務の効率が大幅に向上します。しかし、OCRはすべての文字を完璧に読み取れるわけではありません。手書きの文字や劣化したFAX画像は誤認識されやすく、再確認や再入力が必要になることがあります。 

認識精度が低い主な原因としては、手書き文字の個人差や不鮮明さ、フォントのばらつき、印刷品質の劣化、そして受注票のフォーマットが統一されていないことが挙げられます。これらの問題を解消しなければ、OCRの導入効果が十分に発揮されないことになります。 

OCR認識率を向上させるために実践すべき具体的な方法について 

認識精度を向上させるための第一の方法は、受注票のフォーマットを統一することです。具体的には、OCRが読み取りやすいフォントや文字サイズを指定し、記入欄や枠線の配置を標準化します。例えば、文字が枠線にかかってしまうとOCRが正しく認識できないため、記入欄を適切に調整することで認識率が向上します。さらに、協力会社に記入ルールを事前に共有し、記入時の整合性を高めることも効果的です。 

次に、OCR処理前の画像前処理技術を活用します。前処理技術には、画像の解像度向上、ノイズ除去、コントラスト調整などが含まれます。例えば、FAXで送られてきた受注票は解像度が低いため、スキャナーの設定を最適化し、解像度を300dpi程度に上げることで読み取り精度が改善されます。また、ノイズ除去により不要な背景の影や汚れを取り除くことで、文字が鮮明に認識されやすくなります。 

さらに、AI-OCRの導入も認識率向上に有効です。従来のOCRは機械的に文字を識別しますが、AI-OCRは機械学習を用いて手書き文字や特殊なフォントを高精度に読み取ることができます。例えば、社員ごとに異なる筆跡やクセのある手書き文字も、AI-OCRなら学習データを増やすことで徐々に認識精度が向上します。 

最後に、OCRで読み取ったデータを生産管理システムと連携させ、認識後のデータ補正を自動化する方法があります。具体的には、OCR結果をシステム内のマスターデータと照合し、不一致があれば自動で修正する仕組みを導入します。これにより、誤認識による入力ミスを最小限に抑えることができます。たとえば、品番や数量がマスターデータと異なる場合、自動で正しい情報に修正されるため、確認作業の負担が大幅に減ります。 

まとめ 

生産管理における受注票のOCR導入は、手動入力の負担を大幅に軽減し、業務効率を向上させる効果的な手段です。しかし、OCRの認識率が低ければ、そのメリットは十分に発揮されません。本記事で紹介したフォーマットの統一、前処理技術の活用、AI-OCRの導入、システム連携によるデータ補正を組み合わせることで、認識精度を大幅に向上させることが可能です。業務フロー全体を見直し、OCR技術を最大限に活用することで、生産管理の精度と効率化を実現しましょう。 

ARCHIVE

  • 2025
    • 1
    • 2
    • 3
    • 4
    • 5
    • 6
    • 7
    • 8
    • 9
    • 10
    • 11
    • 12
  • 2024